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【本】中島みどり / 白蓮華のように ―あなたに会えてよかった― (3)



一つ前の投稿の続きです。

闘病日記のあとは、お子さんとの文通、ご主人への手紙が掲載されています。

ただただ感心させられるばかりです。同じ境遇になったとき、自分は同じ心境でいられるだろうかと考えずにおれませんでした。日頃どんなに感謝とか思いやりに心がけていても、それはある程度余裕があるときだと思うからです。病気が進行して治る見込みがなく、肉体的にも辛い日々が続いてもなお「今が一番幸せ」と思う事ができるでしょうか。

「死」を終焉ととらえるのではなく、新たな旅路の始まりと受け止められるのは、思い込みや精神の鍛錬とは別の次元のような気がします。

過去を悔やんだり自暴自棄になったりするのではなく、巻末の「看護婦さんのことば」にあるように、今、ここで、自分が生かされていることを心底喜べることの素晴らしさ、力強さを感じずにはおれません。

 中島さんは、どんな逆境にもめげず、いつも前向きで、本当に最後まで諦めることなく頑張っていましたね。それが私たちの元気とやる気につながったのではないかと思っています。そして、私たちにいろんなことを教えてくれました。私はやはり『感謝』と『死の受容』が一番心に残っています。人間は、生きている中でどれだけのことに感謝するでしょうか? 私は、中島さんに出会って、ほんの些細なことにまで感謝できる気持ちに気づきました。今、ここに生まれ、生きていること、これがすべての感謝の根源にあるんですよね。この気持ち、いつまでも忘れることはありません。
 それから『死の受容』について、私の看護婦生活の中、中島さんほど死を冷静に受け止めていた人はいません。もっともっと、この世に残したいことがあったのではないでしょうか……?

真の幸福とは、全てを失っても満たされている安心・満足なのだと思いました。


たとえどんな事態になろうとも冷静でいようね。私はパニックになるかもしれないけどね。その時は春好さんささえてね。私はあなたに何もしてあげられないのがつらいです。いつか、きっと元気になって是非あなたにつくしてあげたい、私の今のささやかな夢です。あなたのそばにずっといたい! あなたを心から愛しているから、大切な人だから!

(65ページより)

 これから先も、治療が残っているわけだけど、期限なんてわからないし、私の体次第というところでしょうね。でも、少しでもよりよい体調まで回復して皆と楽しい時間をすごしたい。私は温泉にも行きたいけど、家に帰り普通の日常生活もしてみたいの。あなたや子どもたちにしてあげられることは今までのようにできることがゆるされるなら、たとえ一日でもいいからしたい! そうなれるようにがんばらないとね。あなたにつくせていたとき(あまりつくすほどでもないけど)が今思うと私の一番幸せな日々だった気がする。早く元気になりたいな~

(70ページより)

あなたは忙しい中を来てくれているのね。私はあなたに甘えてばかりですね。ありがとう。私は幸せです。なつみも毎日なわとびがんばっているようだし、100回まで跳べるようにがんばるそうです。すぐになげだしてしまいそうだったあの子がうそのようですね。ひろきも"くわがた"を山にかえしたとありましたけど、やさしい心がとてもうれしいですね。そういうやさしさを大人になるまでずっと持ち続けて欲しいものだと願います。人間として生まれ、何が一番大切なのか、何のために生かされ、生きていくのか、いつもこの疑問を持ち続けてきましたけど、やはりこのいのちをいかに大切に生きるかということではないでしょうか。

(71ページより)

 今日は心配かけました。でも私は今は大丈夫になり、こうして日記も書けるほどになりました。あなたには、いつも心配ばかりでごめんね。でも、あなたが来てくれるだけで心強いです。ありがとう。運動会のなつみのナレーションすばらしいですね。「黒い雲が通り過ぎると明るい日がさしてくるんだよ」。まさにその通りですね。今は黒い雲が私たちをおおっているけれども、いずれその雲もとおり過ぎ、明るい日がさしてくるのですね。なんだか、元気のでる文ですね。ぜひ、本番でのなつみの声が聞きたいです。元気をとりもどして運動会には行ってやらなくてはね。私がんばる。精一杯がんばる。がんばって、がんばって、がんばって……それでもだめならあきらめられる。だから今はがんばる! 家族があるからがんばれる。

(74ページより)

私は最近よく考えるんだけど、私が皆にしてあげられることって何かしらって。何もできないんだけど、せめて気持ちだけでも持っていたいの。あなたには女として妻として接したいし、母には子どもとして接したいし、あなたの両親に対しては嫁として接していたいの。どれ一つとっても今の私には無理なことばかりだとはわかっているのに最後までそうありたいなーと思うの。そんなこと考えているからあなたの顔みると涙が出るのね。私が一番正直になれるときかもしれません。あなたを心から愛しているから、今こうしてあなたを苦しめていることがすごくつらい。あなたのやさしい言葉を聞くと本当につらくなることがある。申し訳ない気持ちで胸が一杯になるの。この世の無常をこのときほど感じることはありません。人生ははかないものですね。しあわせなときはすこしも感じないことが、こうして病気になってみてはじめて思い知らされます。

(76ページより)








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